エンジニア採用のカジュアル面談と選考体験のデザインセミナーレポート

「カジュアル面談を実施したいが、コツがいまいちわからない」

「採用活動が長期化して、コミュニケーションのスタンスが難しい」

こんなお悩みを持つ企業の採用担当者は、少なくないのではないでしょうか。エンジニア採用においてカジュアル面談はとても大事な工程である一方で、候補者の期待しない面談の場を設定してしまうと、マイナスのブランディングとして働いてしまうこともあります。

そこでQiita Jobsでは、2021年7月13日に「エンジニア採用のカジュアル面談と選考体験のデザイン」というタイトルでセミナーを実施しました。こちらでは、​​カジュアル面談プラットフォーム『Meety』を運営する株式会社Meetyの中村拓哉氏に登壇いただき、効果的なカジュアル面談の実施方法や選考体験の作り方について解説いただきました。

本記事では、こちらのセミナー内容についてレポートします。エンジニア採用について課題を感じている方は、ぜひご覧ください。



登壇者プロフィール

中村 拓哉(なかむら たくや)
株式会社Meety 代表取締役

2011年Speeeに入社。WebマーケティングのコンサルティングやDSPトレーディング事業の立ち上げをしながら、採用活動を兼務。人事部へ異動後、2年間で100名以上の採用を実施。2017年1月にSpeeeから投資しXR関連スタートアップVRizeのCOO事業推進責任者として事業のPMFの探索・組織作りを経験。2019年5月に株式会社Meetyを創業し、2020年10月にカジュアル面談プラットフォーム『Meety』をローンチ。

採用活動の長期化に備えて

中村:まずは1つめの「採用活動の長期化に備えよう」ということで、そもそもみなさん、採用活動が長期化しているという感覚はどの程度持っていますか?

--機会があれば転職したい、という人に対してもアプローチしなければいけないということを考えると、半年ないしは一年くらいのスパンの会社さんが多い印象です。

中村:おっしゃる通りですね。よく以下のような声を聞くのですが、例えば大手転職サイトでスカウトを送っていても、それですぐに選考へと進む人って結構少ないわけです。とはいえ、中長期で追いかける必要があるのは分かってはいるけれど、結果として面談後に放置しているという会社さんも多いと思います。
中村:現時点でのエンジニアの求人倍率がだいたい10倍を越えていると言われていて、2030年になると、今の状況よりもさらに倍からMAXで4倍くらいになると予想されています。つまり、一人採用するために必要な時間は、今後も改善されないことは大前提になってくるので、この長期化を前提とした採用の戦略や体制を組む必要があるわけです。
中村:これに伴って候補者の方の態度変容も加速している感覚があります。つまり、スカウトだけではなく、TwitterのDMやLinkedInなどでもアプローチが日常的に届いているので、誘われ慣れていて、仕事やキャリアにはあんまり困っていないというケースが増えていると感じます。つまり、エンジニアの方って、あまり日常的にキャリアのことを考えていないと言えます。
また、エンジニアの方は日々プロダクトを作っている方が多いので、正直、候補者体験が考えられてない対応をされると、すぐに「ダメな会社」という烙印を押されることになります。
中村:そういう彼等に対してどういうコミュニケーションを取れば良いのか。このように、段階的な階段を登るようなコミュニケーションの設計が、今は凄く求められていると思っています。
そして、これらのコミュニケーションを人事の方が一手に引き受けるっていうのは、かなり無理なんじゃないかなとも思っています。

ファンベース型採用活動とは

ーーではまずは、Webアプリケーションにおける一般的な構造について説明をお願いします。
中村:だからこそ、こちらの図にも書いた通り、ファンベース型の採用活動という考え方が大切だと捉えています。つまり、1.0時代では募集型の求人サイトや人材紹介のアプローチがあって、2.0時代のダイレクト型ではQiita Jobsをはじめとするスカウト媒体がエンジニアチャネルの大きな部分になってきていると言えます。
さらにその先にあるのが3.0時代のファンベース型ということで、リファラル採用、採用マーケティング、タレントプールなどと言った施策を抽象化したものとなります。
中村:具体的な採用体制に今の言葉を意識しながら当てはめていくと、まずレベル1としては、面接・面談の依頼をすれば現場の方が引き受けてくれるという状態です。次にレベル2に関しては、個人の方が会社名を出してちゃんと発信をしてくれるという状態です。会社のことを訴求してくれるようなnoteを書いてくれるとか、Tweetしてくれるみたいなことです。そしてレベル3として、現場の方が人事の承認とかをとらずに勝手に候補者プールを作っていっている、みたいなマインド設定の状態です。うまくいっている会社さんにヒアリングしていくと、こんな状態になっていると言えます。

--まさに今、3.0時代へと移ってる会社さんが非常に多く見受けられるなと思っているのですが、この3.0が生まれ始めた背景はどのようにお考えでしょうか?

中村:何か明確なきっかけがあってということではないとは思うのですが、結果的に、例えば選考中の方がミートアップ参加されたらめちゃくちゃ温度感が上がったっていうファクトが取れたりなどして、その成功体験が蓄積され、ミートアップが効率的という認知が広がって流行って行ったと思います。具体的には、例えばメルカリさんの取り組みなんかはとても広く認知されたと思っています。

候補者がカジュアル面談で求めていること

中村:続きまして、「候補者がカジュアル面談で求めていること」というお話をさせていただきます。
中村:まずは企業と候補者、それぞれの本音ですが、こちらなんじゃないかなと。企業側は一言で言うと「効率重視」。一方で候補者側は「まず知りたい」というのが、カジュアル面談を受ける彼等の本音かなと思っています。
キャリアのことをどう考えていますか?と言われても、先ほどお伝えした通り毎日はあまり考えていないので、まあかわすのは当たり前なんですよね。カッコのついた「自分の市場価値を確認したい」としたところが、実は大きいのかなって思っています。
中村:その上で、候補者が炎上してしまった事例がこちらです。カジュアル面談の一番よくある炎上パターンですね。スカウトメールはこちらから誘っているので、志望動機っておかしいでしょ、というものです。この他にも、テンプレメッセージを送られてきた場合などもよく、炎上対象になります。
これ、いずれも完全な間違いじゃないと言いますか、ビジネスロジックで効率化していくと、こういう形になり得ます。でも、こういうことが一度でも発生すると、スカウトの信用力が下がっていきますし、俺ってワンオブゼムなんだなって思われて、「口説いてるって嘘じゃん」と思われてしまいます。

インタビューから見える候補者インサイト

中村:では、どうやったら候補者をファン化していけるのかと。やはり彼等が求めていることを正しく理解して提供していくことが、ファン化への王道なのかなと思っています。

「個人学習のために定期的に勉強会やコミュニティ活動に参加している」という層に対しては、例えばターゲットが興味がありそうなテーマで勉強会を企画して、まずは認知してもらうことが考えられます。あわよくば登壇した社員のTwitterをフォローしてもらったり、少人数のイベントであれば顔と顔をあわせてウェビナー形式でもお互いの顔を認識して関係性ができたりなどです。そういうコミュニケーション機会があると、こういう方々にはアプローチしやすいのかなと思っています。

中村:次に「積極的に仕事探しの行動はしていないが、自分が持てるキャリアの選択肢は外部との接点を通じて意識している」という方に対しては、カスタマイズしたスカウトがやはり王道の勝ち筋でしょう。最近は、副業の訴求や、「オンラインで30分、もしくは15分でも良いので」というライトな訴求など、とにかくまず返信してもらうところをKPIにしてメッセージを作り込んでいらっしゃる企業も増えてきていて、できるだけハードルを下げるコミュニケーションの術がとられているなという感覚ですね。
中村:最後3つ目は、「次のキャリアを意識し始めた」っていう方です。こういう方々に対しては、情報をできるだけWEBに開示したり、会社の紹介資料やエントランスブックを作り込んでおくなど、色んなフェーズごとにどういう情報を渡すかってところを考えていくことが重要です。そして、そういう企業さんも増えてきているなと思っていて、ここでもかなり差が付き始めてきているなと感じています。
中村:まとめとして、候補者が求めていることは、どれだけ心理的安全性が高く、本当に気軽に知りたいことを聞きに行ける場を作れるか、ということです。
そして、本当に候補者体験を高めたいのであれば、候補者の論理がベースにあって、そのうえで企業の論理をいかに乗っけられるかが勝負になる、ということです。

カジュアル面談の体験が損なわれるBadケースとは

中村:次に「カジュアル面談の体験が損なわれるBadケース」ということですが、まず大前提として、カジュアル面談という概念が曖昧だということが挙げられます。そもそもがファジーな概念なので、各社やっていることがバラバラだったりするなって思うわけです。候補者目線で言うと、「本当に選考じゃないんでどうぞ」って言われても、「それほんと?」って感じで疑ってしまっているというのが、今のカジュアル面談かなと思っています。
中村:僕の会社で提供しているMeetyの場合は、カジュアル面談のガイドラインを全ページに入れていまして、カジュアル面談を実施する側のみなさんには、志望動機を聞かないでくださいだったり、会話を主導するのは企業さん側ですなどといった、マインドセットの内容を提示しています。
中村:もう一つ、スカウトを送る人と当日の面談者が異なると、場の目的を見失いがちになるということです。スカウト送ったのは人事の方で、実際に面談をするのはエンジニアの方、というパターンが多そうですね。この場合、情報の共有がおろそかになってしまったり、その結果としてどんなテンションで行けば良いのかわからなくなるといったことが起こります。
中村:これに対してMeetyでは、例えば機械学習エンジニアって検索すると各会社さんの現場のエンジニアの方が出てくるようになっています。エンジニアってエンジニアの方と喋りたいとか、エンジニアの現場の方にどんな感じなのか正直聞きたいみたいなニーズが強かったりするので、直接現場の方とつなげるという思想でサービスを作っています。
中村:Meetyの事例をこのまま喋らせていただくと、例えばマネーフォワードさんの場合は、結構自発的に色んな社員の方が登録し始めていて、他の媒体と比べてリラックスして会えるので会社の魅力が結果として伝えやすくなるみたいな声が届いています。
このように、カジュアル面談の定義を決めて、それを可能であれば発信し、ブレない運用方法を確立することが大切となります。

選考体験を引き上げる情報開示力とは

中村:最後は、「選考体験を引き上げる情報開示力」についてです。先程もお伝えした通り、採用シーンにおいては面接などの短期的なコミュニケーションに終わりがちです。一方で時間軸を長くとって、候補者との信頼関係を深めるコミュニケーションをとろうとすると、その人の思想や自社の価値観など、より抽象的な会話がおろそかなってしまう企業も多い印象です。

中村:ここで情報開示レベルを4段階で表してみると、以下のようになります。

中村:レベル1はクリアしている企業がほとんどと言いますか、そうじゃないと採用できないと思うのでここは普通にやってらっしゃると思いますし、この後の「開発言語・使用しているルーツを公開」についても、多くの企業がやってらっしゃる印象です。
次のレベル3が「メンバーの情報・具体的な働き方を公開」ということで、例えば、ペアプログラミングを実施してコードの品質を向上させるためにこれくらいの頻度でやっていますとか、日々のエンジニアの業務がイメージしてもらえるかどうかが、大切なポイントになります。とは言え、ここを100%出すのは難しいとも思っていまして、会社によってかなりバラける印象なので、自社はどうなのかをまずは確認すると良いでしょう。
さらにレベル4に関しては「組織のカルチャー・思想を言語化して公開」ということで、要するにミッション・ビジョン・バリューの話です。凄い大事な部分なのですが、なんだかこれ、忘れやすいなとも思っています。最後の勝負の分かれ目は、組織カルチャーであることがビジネスサイドもエンジニアもほとんどだと思う一方で、エンジニアの方でここをめちゃくちゃ流暢に話せる方って少ないとも思いますので、ここについてしっかりとトレーニングした方が良いなと考えます。
中村:以上のような内容を前提に、ここにあげたコミュニケーション設計例を参考にして、超具体から抽象までを開示した「仲を深める」意識で、候補者の方と対話をするようにしましょう。

具体&抽象を適切に設計した候補者コミュニケーションを実践しましょう

今回は「エンジニア採用のカジュアル面談と選考体験のデザイン」というテーマで、効果的なカジュアル面談の実施方法や選考体験の作り方についてお伝えしました。情報開示レベルにおける具体から抽象までの軸をベースにした、候補者とのコミュニケーション設計ということで、非常に実践的でポイントを絞った内容を教えていただきました。候補者コミュニケーションに悩んでいる採用担当の方は、ぜひ本記事や、別で参照いただけるセミナー動画を参考になさってみてください。

取材/文:長岡 武司

セミナー資料ダウンロード

本セミナーで投影した資料はお役立ち資料「エンジニア採用のカジュアル面談と選考体験のデザイン」にてダウンロードが可能です。

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