2011年、リクルートジョブズに新卒入社。求人関係の営業に従事したのちに、2015年にエイチームに入社。人材開発グループで中途採用担当を務め、2018年より社長室 コーポレートPRグループに異動。ブランディング、PRツール制作・管理、社外広報活動、社内広報位活動などの領域を担当している。
安藤:次に「コーポレート・ブランディング」とは、企業が上述のステークホルダーに共有したい企業の社会的イメージを醸成し、企業価値を向上させる働きかけのことです。以下が、コーポレート・ブランディングで扱われるものの一例となります。
--いろんなステークホルダーによって、微妙に「もってもらいたいイメージ」が違うと思うのですが、そこはどう考えれば良いのでしょうか?
安藤:見られたい姿をステークホルダー別に分けてしまうと、会社の人格がボケてしまい、そこに矛盾が生じてしまいます。矛盾が生じると不信感につながります。なので、会社の人格と、そこから発されるメッセージ・イメージは、すべて一貫させることが大切です。その上で、パブリックとの良好な関係性を構築することが重要になります。
「矛盾のない一貫性あるコーポレート・ブランディング」をしっかりと行うことで、消費者を含めたステークホルダーにとっての中長期的な安心や信頼、将来性などの構築につながります。
採用に関して考えると、全てのステークホルダーは採用候補者になる可能性があるからこそ、この「一貫性」は社内外ともに必要な姿勢だと言えます。
1つ目は、採用競合との差別化を図って、採用競争力の強化ができるという点です。背景としては、オウンドメディアによる企業の採用発信の活発化や、発信チャネルの多様化・多角化と採用競争激化、IT企業以外でもエンジニア採用はレッドオーシャンになっていることが考えられます。
具体的な実践内容としては、以下2点が挙げられるでしょう。
最後3つ目は、企業ブランドへの信頼性が高まることによる、マッチング精度および ロイヤルティの向上効果です。ブランディングの本質は「記憶との闘い」であり、企業認知度・好感度向上がポジティブなイメージ醸成に影響することが、本メリットの背景だと言えます。
具体的な実践内容としては、以下3点が挙げられるでしょう。
安藤:エイチームでは、以下の6要素を重点的に発信しているといいます。会社のパーパスを伝えるために重要なポイントをこの6つに絞っているわけですが、これはあくまで「エイチームが発信したい情報」であることがポイントです。
一方で同社は、企業への参加要因として「求職者が求めている情報」を、以下の4カテゴリー8項目と定義しています。
次に具体的なアウトプットです。エイチームでは、以下の経営理念を設定しています。
「みんなで幸せになれる会社にすること」
「今から100年続く会社にすること」
--「幸せ」って、これも抽象度が高い言葉ですね。
安藤:おっしゃる通り、理念でよく使われるワードではありますが、人によって捉え方がさまざまになる言葉でもあります。このような抽象度の高いワードに対しては、会社ごとに、その会社が考える定義を据えるべきだと言えます。エイチームでは、「幸せ」の定義を次の3つで設置しています。
この上で同社では、大切にする価値観およびそのような価値観をもつ人たちのことを「Ateam People(エイチームピープル)」として定義し、8つの主文と副文に分けたスライドで、コーポレートサイトに掲載しています。
安藤:これを前提に同社では、企業文化・価値観をはじめ、福利厚生や人事制度、人材に対するスタンスなど、さまざまな情報を一貫した軸で発信しています。以下は、コーポレートサイトでの発信物の一例となります。
<企業文化・価値観>
<福利厚生・人事制度>
【キャリア支援・研修】個のパフォーマンスを高めながら長期的なキャリア形成を支援するエイチームのキャリア支援・研修をご紹介
<人材に対するスタンス>
【人事インタビュー】2022年卒新卒採用最前線!変化を前向きに捉え適応する人、好奇心を持ちわくわく本気になれる人と働きたい
【人事インタビュー】2021年卒新卒採用は何を見ているの?人事のホンネを聞いてみました!
<エンジニアを意識した発信>
【社員インタビュー】OSS関連活動を支援するエイチームの「OSSポリシー」とは?エンジニアのスキルアップやキャリアの幅を広げ、OSSコミュニティに貢献
【ハッカソン開催】在宅勤務マネジメントの課題を解決せよ!グループ横断でハッカソンを開催
<コロナ禍での働き方>
今回は「共感を生む採用ブランディング実践法」というテーマで、前知識としての広報・ブランディングへの正しい理解や、採用担当者が行うべきブランディングのポイント、エイチームの具体的な取り組み内容についてお伝えしました。本記事の内容を理解し、また自社のことを正しく深く理解することで、中長期的な目線での採用ブランディング力が高まっていくでしょう。
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取材/文:長岡 武司