ここ数年で企業のDX機運が高まり、新規事業の立ち上げから既存事業のデジタル化まで、社内で様々なプロジェクトが立ち上がっている会社も多いのではないでしょうか。それに合わせて、ますます重要になってくるのが「エンジニア採用」だと言えます。 しかし、採用担当者にとってはエンジニアリングの世界は特殊だとの認識が強く、なかなかエンジニアについての理解が深まらない、という悩み・課題を多く耳にします。
そこでQiita Jobsでは、2021年5月12日に「採用担当に知って欲しいエンジニアリングの知識」というタイトルでセミナーを実施しました。これは、エンジニア採用を行うために知っておくべきエンジニアリングにまつわる知識を、お役立ち資料「採用担当者が押さえておくべきITエンジニアリングの全体像・基礎知識」を元に解説していくというものです。
本記事では、こちらのセミナー内容についてレポートします。エンジニアについての理解に悩まれている採用担当者は、ぜひご覧ください。
アルバイトを経て、2019年にエイチームに入社。Qiita Jobs開発グループでQiita Jobsの開発に携わる。2020年よりQiita プロダクトマネージャーに就任する。趣味はサウナ。
清野:先述した通り、プログラミング言語には多くの種類があります。その中で、自社サービスではどの言語を使っているのかを知り、なぜその言語を使っているのかを理解することも非常に重要です。プログラミング言語は開発の成否を左右する重要な要素の一つともいえるので、ここを抑えておくことで、求職者に対してより一歩進んだ魅力づけを行うことができます。
ちなみに、プログラミング言語の選択基準としては、以下のような観点があります。
--よくエンジニアの世界では「モダンな言語」とか「古い言語」といった表現がされますが、たとえば古いと何がいけないのでしょう?
清野:プログラミング言語というのは、いきなりパッと何かが良くなるという類ではなく、徐々に進化していきます。つまり、古い言語が一概に悪いというわけではないのですが、新しい言語の方が一連の開発で培われた反省が生かされているので、開発しやすいという側面があります。また、人気があればあるほど便利なライブラリもたくさん出てくるため、比較的嬉しい機能が多いなという印象です。
具体的なプログラミング言語、およびライブラリ・フレームワークは、それぞれ以下の通りです。フロントエンドとサーバーサイド、その他の3括りでまとめています。
ーー次に、担当する領域ごとに職種を分類し、それぞれに求められるスキルについて解説をお願いします。
ーー最後に、エンジニアリングスキルの分類について、解説をお願いします。
清野:エンジニアリングスキルは、大きく分けて以下の3つに分類されるます。
実装スキルとは、プログラミングを実際に行ったり、効率よく処理できるようなコードを書くような部分です。設計スキルとは、サービスを運用するにあたってなるべくコストをかけずに持続的に開発を続けるための仕組みづくりをする部分です。そしてマネジメントスキルとは、プロジェクトマネジメント力とも言えるでしょう。各タスクの切り分けや要件定義力、コストの見積もりの正確性が、ここに含まれます。
--この3つの中で、理想的な比率みたいなものはありますか?
清野:基本的に実装スキルはマストかなと思っています。その上で設計スキルは、あったらよりちゃんとエンジニアとして書けるイメージで、マネジメントまでできると開発以外のタスクもお願いできるので、より幅広く活躍できるかなと思います。
--なかなかこの3つを意識できている採用担当者は、多くはない印象です。
清野:エンジニアリング力というと、どうしても実装スキル部分がフォーカスされがちなのですが、実は設計とマネジメントも重要なスキルになりますね。特に採用シーンでは、後者の2つに目がいかないケースが多いことから、入社後に思ったほど活躍できていなかったり、本来は活躍できたはずのエンジニアを見つけることができないといった事態が発生するわけです。
会社によって、この3つのうちどの領域のスキルセットが必要なのかをしっかりと見極め、求人票に反映するべきだと言えるでしょう。
今回は「採用担当に知って欲しいエンジニアリングの知識」というテーマで、Webアプリケーションの構造からプログラミング言語とライブラリ・フレームワークの具体的な内容、IT業界の俯瞰、そしてエンジニアリングスキルの分類についてお伝えしました。本記事の内容を理解し、その上で自社課題に沿った内容に求人票へ反映することで、採用シーンにおけるエンジニア訴求力を格段に上げることができるでしょう。
Qiita Jobsでは、今回のような採用担当者に役立つオンラインセミナーを定期開催しております。興味のあるものがあればぜひご参加ください。 https://media.jobs.qiita.com/event
取材/文:長岡 武司